鎌倉仏教(かまくらぶっきょう)とは、平安時代末期から鎌倉時代にかけて発生した仏教変革の動きを指す。特に浄土思想の普及や禅宗の伝来の影響によって新しく成立した仏教宗派のことを鎌倉新仏教(かまくらしんぶっきょう)と呼ぶ場合もあるが、後述のように問題が無い訳ではない。
平安仏教が貴族仏教であったのにたいして、鎌倉新仏教はあらたに台頭してきた武士階級(特に臨済宗・曹洞宗)や一般庶民へと広がっていった(浄土宗・浄土真宗・時宗・日蓮宗)。ただし、山門(天台宗)勢力やそれと結んだ権門勢力の弾圧もあり、これらの宗派が力を持ち始めるのは戦国時代以降である(鎌倉幕府の庇護を受けた臨済宗を除く)。
鎌倉仏教を「旧仏教」「新仏教」と呼んで区分する考え方は比較的新しい考え方である。この語が最初に用いられたのは、日本仏教史研究の先駆者とされる村上専精が明治期に出した『日本仏教史綱』(1898年?1899年)で、「新仏教」という表現には明恵以下の旧仏教側の改革の動きをも含めて解説し、こうした動きに加わらなかった既存寺院を「従来仏教」「古宗」と表記している。
そして大正期に入ってから、鎌倉時代に成立した上記6宗派をもって既存宗派と区別する見解が登場して、辻善之助が「旧宗」「新宗」、続いて大屋徳城が今日のような「旧仏教」「新仏教」と呼んで以後、この呼称が定着した。
ところが、近年入るとこうした分け方にいくつかの問題点が指摘されている。法然の浄土宗成立の時期の問題も当然含まれるが、一番の問題とされているのが、「叡尊・忍性の真言律宗は新仏教ではないのか?」という点である。
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松尾剛次は、鎌倉新仏教の最も重要な要素を「国家からの自立」と「個人の救済」と捉え、この2つがあって初めて貴族仏教から脱却して民衆仏教としての鎌倉新仏教が成立したとする観点より、真言律宗がどの新仏教宗派よりも先に国家公認の戒壇に代わる独自の戒壇を樹立して独自の授戒を開始し、社会事業を通じて非人などの社会的弱者を救済し、あるいはこれまで国家から授戒を拒否されてきた女性(尼)への授戒を認めるなど、個人の救済を通じて社会に対する布教を行った事実を指摘し、そして鎌倉新仏教とされる諸派が天台宗と何らかのつながりがあった(上記6宗開祖のうち、5人は延暦寺、残る一遍も末寺の継教寺で修行した)ように、真言律宗は真言宗と律宗(南都仏教)に基礎を置きながらも実態は新仏教そのものであるとして、真言律宗を鎌倉新仏教の1つとする説を唱えた。 また、蓑輪顕量・追塩千尋なども見解に差はあるものの、真言律宗を新仏教とする見方を採る。
これに対する批判として、真言律宗は薬師寺・西大寺や諸国の国分寺などの南都仏教寺院及びその系列をそのまま継承しており、奈良時代の行基などと同様の南都仏教における既成体制内での動きに過ぎない、とする意見も出されている。
この議論は一体何をもって「鎌倉新仏教」と定義づけるのか、「鎌倉新仏教」という表現そのものの是非も含めて、問題点を提示していると言える。